業務用厨房の効率化と品質向上を同時に実現したいとお考えではないでしょうか。マルチスチームクッカーは、過熱水蒸気技術により従来の調理方法を革新し「原材料費削減」「人件費削減」「エネルギーコスト削減」という3つの大きなメリットをもたらします。
この記事では、マルチスチームクッカーの仕組みから機種選択のポイント、導入効果まで詳しく解説します。適切な機種選択により2〜3年での投資回収が期待でき、長期的な競争力強化につながる情報をお届けしますので、参考にしてください。
また、以下の記事では炊飯システム導入におすすめのメーカーを紹介していますので、会社選びでお悩みの方は参考にしてみてください。
エースシステムのマルチスチームクッカーとは?
エースシステムのマルチスチームクッカーは、過熱水蒸気技術を活用した革新的な調理システムです。従来の調理方法とは異なり、高温の水蒸気を利用することで食材の栄養価を保ちながら効率的な調理を実現します。
主な特徴は、以下の通りです。
詳しい内容をみていきましょう。
過熱水蒸気による高カロリー・低酸素調理を実現する

過熱水蒸気調理は、100℃以上に加熱された水蒸気を使用する調理方法です。この技術により、食材内部まで均一に熱が伝わり、酸化を抑制しながら調理できます。
通常の蒸し調理と比較して、ビタミンやミネラルの損失を最小限に抑えられ、食材本来の旨味と栄養価を保持するのが特徴です。また、油を使用しない調理が可能なため、ヘルシーな料理の提供にも貢献します。
炊飯から野菜・魚・肉調理まで対応できる
マルチスチームクッカーは、その名の通り多様な調理に対応できる万能性を持っています。炊飯においては、米の芯まで均一に熱を通し、ふっくらとした仕上がりが特徴です。
野菜調理では色鮮やかさを保ちながら適度な食感を維持し、魚や肉料理では旨味を逃がすことなくジューシーに仕上げられます。一台で複数の調理工程をカバーできるため、厨房スペースの有効活用と作業効率の向上を同時に実現できる点も魅力です。
第53回機械振興賞を受賞している
エースシステムのマルチスチームクッカーは、その技術的優秀性と社会的貢献度が認められ、第53回機械振興賞を受賞しています。この賞は、機械工業の発展に寄与する優れた製品や技術に対して贈られる権威ある賞です。
受賞により、同製品の技術的信頼性と市場での評価の高さが証明されています。革新的な過熱水蒸気技術の実用化と、食品業界における調理効率化への貢献が評価されたものです。
MSCシリーズの機種別仕様と選び方
MSCシリーズは、施設規模や処理能力に応じて選択できる豊富なラインナップを揃えています。各機種は異なる容量と機能を持ち、導入先の具体的なニーズに合わせた最適な選択が可能です。
以下で解説しますので、導入時の参考にしてください。
MSC100・MSC150・MSC200の小規模~中小規模施設向け仕様
MSC100、MSC150、MSC200は、小規模から中小規模の施設に最適化された機種です。これらの機種は同一の消費電力4.5kwで運用でき、電気設備への負荷を抑えながら段階的な処理能力向上を実現します。
項目 | MSC100 | MSC150 | MSC200 |
---|---|---|---|
炊飯能力 | 100kg/h | 150kg/h | 200kg/h |
消費電力 | 4.5kw | 4.5kw | 4.5kw |
蒸気想定使用量 | 170kg/h | 170kg/h | 250kg/h |
上水使用量 | 1.0㎥/h | 1.2㎥/h | 1.5㎥/h |
全長 | 3,500mm | 4,800mm | 5,700mm |
機械重量 | 1,600kg | 2,000kg | 2,400kg |
MSC100とMSC150は同じ蒸気使用量(170kg/h)で運用できるため、既存のボイラー設備を有効活用しながら処理能力の向上が可能です。MSC200では蒸気使用量が250kg/hに増加しますが、より高い処理能力を実現します。
MSC300・MSC450の中規模~大規模施設向け仕様
MSC300とMSC450は、給食センターや大規模食品加工施設向けの高処理能力機種です。消費電力6.5kwと高出力設計により、大量調理における安定した性能を発揮します。
項目 | MSC300 | MSC450 |
---|---|---|
炊飯能力 | 300kg/h | 450kg/h |
消費電力 | 6.5kw | 6.5kw |
蒸気想定使用量 | 350kg/h | 450kg/h |
上水使用量 | 2.0㎥/h | 2.5㎥/h |
全長 | 7,800mm | 9,800mm |
全幅 | 1,700mm | 1,850mm |
機械重量 | 3,400kg | 5,000kg |
MSC450は全幅が1,850mmと他機種より広く設計されており、最大処理能力に対応した堅牢な構造を持っています。また、機械重量5,000kgと大型のため、設置時の床耐荷重や搬入経路の事前確認が必要です。
マルチスチームクッカーを導入するメリット3つ
マルチスチームクッカーの導入により、調理現場ではさまざまな経済的・運用的メリットを享受できます。以下のメリットは、初期投資を上回る長期的な効果をもたらすでしょう。
詳しい内容を解説します。
①炊き増え率向上による原料削減効果がある

過熱水蒸気を使用したマルチスチームクッカーによる蒸気炊飯では、従来の釜炊飯と比較して優れた炊き増え率を実現します。蒸気炊飯の炊き増え率は約2.3倍〜2.5倍となり、釜炊飯の2.15倍を大幅に上回る性能が魅力です。
この効果により、1トンのご飯を炊飯する場合、約30kg以上の原料白米の削減も可能です。炊き増え率の向上は、食材コストの削減に直結し、特に大量調理を行う給食施設や食品加工施設において大きな経済効果をもたらします。
また、同じ量のご飯を提供するために必要な米の購入量が減ることで、保管スペースの削減や在庫管理の効率化にも貢献します。
②作業時間短縮による人件費削減につながる
マルチスチームクッカーの導入により、調理工程の自動化と効率化が進み、作業時間の大幅な短縮が可能です。従来の調理方法では複数の工程に分かれていた作業を一台で完結でき、スタッフの作業負担を軽減します。
また、調理中の監視作業も最小限に抑えられるため、他の業務に人員の配置も可能です。結果として、人件費の削減と労働生産性の向上を同時に実現できます。
③エネルギー効率向上にでランニングコストを削減できる
過熱水蒸気技術は、従来の加熱方式と比較して優れたエネルギー効率を実現します。熱の伝達効率が高いため、短時間で均一な加熱が可能となり、消費電力やガス使用量の削減が可能です。
また、保温機能も効率的で、調理後の温度維持に必要なエネルギーも最小限に抑えられます。エネルギー効率向上効果により、月間のエネルギーコストを20〜30%削減でき、長期的な運用コストの大幅な削減につながります。
マルチスチームクッカーの選び方
マルチスチームクッカーの選択には、施設の特性や運用条件を総合的に検討する必要があります。以下を参考に適切な機種を選択すれば、投資効果を最大化し、長期的な成功を確保できるでしょう。
選び方の詳細を解説します。
設備規模と処理能力に応じた機種を選ぶ
機種選択の最も重要な要素は、施設の規模と必要な処理能力のマッチングです。日々の調理量やピーク時の需要、将来的な拡張計画を考慮して適切な容量の機種を選択する必要があります。
過大な機種は初期投資とランニングコストの無駄を生み、過小な機種は処理能力不足による業務効率の低下を招きます。また、複数台導入による分散処理も検討し、リスク分散と柔軟な運用を実現することも重要です。
設置条件と必須設備を確認する
マルチスチームクッカーの導入には、適切な設置環境と付帯設備が必要です。以下のような基本的な条件を事前に確認し、必要に応じて設備改修を計画する必要があります。
- 電源容量
- 給排水設備
- 排気設備
- 設置スペース
また、メンテナンススペースの確保や、作業動線への影響も考慮するのも重要です。設置条件が不適切な場合、機器の性能を十分に発揮できず、期待した効果を得られない可能性があります。
投資回収期間と導入効果を検討する
マルチスチームクッカーの導入は、初期投資に対する回収期間と長期的な効果を慎重に評価する必要があります。以下のような直接的な効果があります。
- 原材料費削減
- 人件費削減
- エネルギーコスト削減
さらに、調理品質向上による顧客満足度の向上や、作業環境改善による従業員満足度の向上などの間接的な効果も考慮することが大切です。一般的に2-3年での投資回収が見込め、その後は継続的なコスト削減効果を享受できます。
炊飯システムのおすすめメーカー3選

業務用炊飯システム市場には、それぞれ特色のある優れたメーカーが存在します。ここでは、以下3社の特徴と魅力を紹介します。
各メーカーの特徴と強みを理解すれば、最適な選択が可能になるでしょう。
エースシステム株式会社
エースシステム株式会社は、1988年創業の食品機械メーカーで、業界初の過熱水蒸気を熱源とした調理機器を主力商品として展開しています。同社のスチームライスマシーン(SRM)は、世界初の無浸漬炊飯システムとして、炊き増え率2.3〜2.6倍、原料削減効果約10%を実現している会社です。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | エースシステム株式会社 |
所在地 | 大阪府和泉市あゆみ野3-1-3 |
創業年数 | 1988年創業 |
商品名 | スチームライスマシーン |
公式サイト | https://www.acesystem.co.jp/index.html |
冷凍食品メーカーやコンビニ・給食センターなど多くの業種への納入実績があり、定期点検やリモートメンテナンスなどのアフターサポートも充実しています。気になる方は、ぜひ以下より問い合わせてみてください。
以下の記事ではエースシステム株式会社の会社の特徴や製品事例を詳しく解説していますので、気になる方はぜひ一度お読みになってみてください。
株式会社アイホー
株式会社アイホーは、1953年創業の業務用厨房機器の総合メーカーで、連続炊飯機「ライスフレンド スチームシャワー」(蒸気式)を展開しています。蒸気のチカラで365日おいしく、安定した炊飯を実現し、スペースの限られた施設にも導入可能な設計です。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社アイホー |
所在地 | 愛知県豊川市白鳥町防入60 |
創業年数 | 1953年創業 |
商品名 | 連続炊飯器ライスフレンド |
公式サイト | https://www.aiho.co.jp/ |
同社は、長年の厨房機器製造経験を活かし、使いやすさと信頼性を重視した製品開発を行っており、多くの飲食店や給食施設から支持を得ています。以下の記事では、株式会社アイホーについて詳しく解説しているので併せて参考にしてください。
株式会社サタケ
株式会社サタケは、1896年創業の食品産業総合機械および食品メーカーで、米に関する総合技術メーカーとして精米機から炊飯システムまで幅広い製品を展開しています。創業者の佐竹利市が日本で最初に動力式精米機を開発しており、創業以来120年以上のノウハウと研究により米の加工技術に優れている会社です。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社サタケ |
所在地 | 広島市東広島市西条西本町2番30号東京都千代田区外神田4丁目7番2号 |
創業年数 | 1896年創業、1939年設立 |
商品名 | 炊飯マイスターシステム |
公式サイト | https://satake-japan.co.jp/index.html |
同社は、国内の大型精米工場シェア70%以上を誇り、圧倒的な技術力と実績を持っています。以下の記事では、株式会社サタケについて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
マルチスチームクッカーは、過熱水蒸気技術を活用した革新的な調理システムとして、業務用厨房における効率化と品質向上を実現します。エースシステムをはじめとする各メーカーが提供する多様な機種から、施設規模や処理能力に応じた最適な選択が可能です。
適切なマルチスチームクッカーの導入により、調理現場の生産性向上と品質安定化を同時に実現し、競争力の強化につなげることができるでしょう。