「お米の使用量はなるべく抑えたいけれど、味や食感は落としたくない……」
そんな悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
実は、同じお米の量でも炊き増え率を上げることで、仕上がるご飯の重量を増やすことができます。
1トン単位の大量炊飯では、炊き増え率を向上させることで数十kg単位の原料削減が期待でき、コストダウンに直結する可能性もあります。
本記事では、炊き増え率の概要・上げ方・注意点から、おすすめの業務用炊飯器メーカーまでを一挙に解説します。
さらに「計量」「洗米」「浸漬」「加熱」といった炊飯工程の基本ポイントも補足しているので、より効率的にふっくら・大増量のご飯を炊くためのヒントにしてみてください。
炊き増え率を理解してコストダウンを狙うメリット

炊き増え率とは、お米を炊飯した際に「生米の重量」に対して「炊き上がったご飯の重量」がどれほど増えたかを示す数値です。
150gの生米が300gに炊き上がれば、炊き増え率は「2.0倍」です。
多くの場合は2.1~2.2倍程度が一般的とされますが、品種や炊飯法によっては2.4倍前後まで引き上げられるケースもあります。
炊き増え率が高いほど少ないお米でも大量のご飯を確保でき、原料コストを削減できる点が最大のメリットです。
- 業務効率の向上
大量調理の現場では、原料コストだけでなく仕込みや炊飯の手間も大きな負担になります。
炊き増え率の高い品種を選ぶ、あるいは炊き増え率を高められる熱源・炊飯器を導入することで、同じ量の生米から多くのご飯を得られれば、コストも作業も削減が可能です。
- 顧客満足度向上
炊き増え率を上げるには、ただ水を増やせばいいわけではなく、「おいしくふっくら仕上げる工夫」が必要です。
正しく炊き増え率を上げる方法を実践すれば、量だけでなく食感もよいご飯を提供でき、顧客満足度向上につながります。
2.35倍を超える!?数字で見る炊き増え率の目安

実際にどの程度まで炊き増え率は上げられるのでしょうか。
いくつかの調査では、一般的な釜炊飯で約2.1~2.2倍、蒸気式炊飯で2.3~2.6倍にまで達するデータが示されています。
とくに業務用の大量炊飯の場合、条件を最適化すると2.40~2.45倍といった数値も期待できるとの報告があります。
以下に、目安として覚えておきたい炊き増え率の範囲をまとめました。
- 少量炊飯(家庭用炊飯器):2.1~2.3倍前後
- 業務用・ガス炊飯:2.2~2.4倍前後
- 業務用・蒸気炊飯:2.3~2.6倍前後
たとえば2.6倍に炊き増えした場合、同じ生米量から通常よりも約20%~30%多い量のご飯が得られます。
1トン単位の炊飯現場なら、その差は数十kgレベルと非常に大きく、原料費節約や事業利益の増加につながる可能性があります。
1時間の浸漬で変わる!炊き増え率を上げる3つの基本テク

炊き増え率を高めるうえでは、炊飯工程の「計量」「洗米」「浸漬」「加熱」の4ステップをしっかり押さえることがポイントです。
以下では、調理現場ですぐに実践できる具体的なテクニックを3つに絞って解説します。
- 米の状態に合わせて水分量を調整する
- 新米は水分量が高いため、水を入れすぎるとかえってお米が砕けたり、柔らかくなりすぎてベタつく原因です。
逆に古米は浸漬時間をしっかり取り、米に水分を吸わせるのが大切です。
- 一般的な基準として、生米重の「1.3~1.5倍」の加水量が推奨されますが(家庭用電気炊飯器では内釜の目盛りを利用)、大量炊飯機などの場合は蒸発量などが異なるため、各調理器具の特性や米の状態に合わせて微調整する必要があります。
- 浄水や沸騰させた水で浸漬を行う
- 水道水でも問題ありませんが、浄水や沸騰させた水を使うと残留塩素がほぼ除去されるため、お米が吸水しやすくなるといわれています。
- ただし、カルシウムやマグネシウムを多く含む硬度の高いミネラルウォーターは、米粒にミネラルが付着して十分な吸水を阻害する場合があるため注意が必要です。
- また、浸漬時間は最低でも30分、できれば60分ほど確保するのが理想です。吸水が不十分なまま加熱を開始すると、お米の芯が残りやすくなります。
- 水道水でも問題ありませんが、浄水や沸騰させた水を使うと残留塩素がほぼ除去されるため、お米が吸水しやすくなるといわれています。
- 炊きあがり後はやさしく全体をほぐす
- 炊きたての釜を開けたら、しゃもじを使ってふんわりと空気を含ませるイメージでほぐしましょう。
これにより水分が米粒全体に行き渡り、ベタつきやムラを防ぐ効果が得られます。
- 「炊き増え率を上げるにはほぐさず水分を多く残した方がいい」と思うかもしれませんが、過度な水分は仕上がりをぐちゃつかせ、食味を落とす要因になります。
ふっくら立った仕上がりにするために、やさしく全体を切るようにほぐすことが重要です。
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前述の3つのテクニックは、あくまでも炊飯工程のなかの一部分です。ここでは、炊飯プロセス全体を概観しながら「計量」「洗米」「加水」「浸漬」「加熱」のポイントを整理してみましょう。
1. 計量
- 重量計で計量するのが理想
容積カップでは簡便ですが、誤差が生じやすいのが難点です。
特に無洗米は同じ体積でも精白米よりも粒が多く入るため、付属カップ以外を使うと計量ミスになります。再現性を高めるには調理用のはかりで「米の重さ」を量り、そこに合わせて水を加える方法が確実です。
- 1合カップの体積差に注意
一般的な「1合カップ」は180mLで、精白米約150gに相当します。
一方で同じ200mLカップを使うと160~170gの白米をすりきり入れられるため、炊飯量に誤差が出る恐れがあります。使用する計量カップの容積をしっかりと把握し、付属カップ以外は代用しないようにしましょう。
2. 洗米
- 近年は研ぐより洗うが主流
精米技術が向上しているため、米粒表面のぬか残りはわずかです。強くこすり合わせる研ぎ方では米が割れやすくなったり、栄養価も流出しやすくなります。
大量の水で手早くかき混ぜてすすぐ洗う方法のほうが、手間も少なく品質の安定につながります。
- 無洗米なら洗う工程を大幅カット
無洗米は事前にぬかの大部分が除去されており、すすぎの回数も少なくて済みます。
ビタミンB1などの水溶性ビタミン流出を減らせるほか、洗米による排水量も軽減できるため環境面でのメリットもあります。
3. 加水
- 目指す炊き増え率は2.1~2.3倍前後
一般的な日本人好みのかたさを得る場合、生米重量に対して約2.2倍程度に炊き上がる加水量が目安です。
家庭用電気炊飯器は内釜の水位線(目盛り)があるため、初心者でも比較的簡単に狙った炊き増え率に近づけられます。
- 洗米後の付着水にも要注意
重量法の場合、洗米後のお米は表面に付着した水分で約10%ほど重くなります。
加水量を「米の重量の1.3~1.5倍」で計算する際には、洗米後に増加した分も含めた重さを使いましょう。
4. 浸漬
- 最低30分、できれば60分
浸漬は炊き増え率を左右する要の工程。特に5℃などの低い水温では吸水速度が遅く、夏場の30℃近い水温なら吸水速度が早いことがわかっています。
1~2時間ほど浸漬するとほぼ飽和吸水に達するため、最低30分は確保するのが炊飯品質向上のカギです。
- 長すぎる浸漬は要注意
浸漬が長すぎると米粒表面が崩れやすくなり、べたつきや食味低下を招く場合があります。
気温の高い夏場は水温が上昇しやすいため、雑菌の繁殖や腐敗のリスクにも配慮しましょう。
5. 加熱
- 沸騰まで約10分+沸騰後~蒸らしまで合計約20分が理想
- 温度上昇期は約10分が目安。短すぎると芯のある仕上がりになり、長すぎると対流が弱まって温度ムラが生じます。
- 沸騰期~蒸し煮期でしっかり糊化を進め、100℃付近を約15~20分保って米の中心部まで熱を行き渡らせるのがポイントです。
- 蒸らし期は約10分程度、余熱でお米の水分分布を均一化させます。
- 温度上昇期は約10分が目安。短すぎると芯のある仕上がりになり、長すぎると対流が弱まって温度ムラが生じます。
- 炊きあがり後のしゃもじづかい
炊飯が完了したら、すぐに釜を開けて空気を含ませるようにやさしく混ぜましょう。
お米の一粒一粒を潰さないように丁寧にほぐすと、外硬内軟のふっくらした食感が際立ちます。
2.3倍以上を実現!炊き増え率が高い米4選

お米の品種によっては、もともと炊き増え率が高いものも。ここでは代表的な4品種を紹介します。
- ゆきん子舞
- 表面がやや硬めで、粘りはあっさり。歯ごたえとほどよい甘みがあるため、中華やカレーなどの料理と相性がよい傾向があります。
早稲品種のため新米が早く流通し、比較的リーズナブルに購入できることも魅力です。
- みずほの輝き
- 表面がやわらかめで粘りはやや軽く、米粒が大きいのが特徴です。冷めてもモチモチ感を保てるため、お弁当に向いている品種になります。
晩生品種で認知度が高くはないものの、炊き増え率が良好で今後の注目株です。
- 新之助
- もっちりとした粘りと硬めの表面、しっかりした弾力が特徴です。おにぎりに向いており、需要が増加中です。
9月下旬頃に収穫される早稲品種で、出回り時期が比較的早いこともポイントです。
- コシヒカリ
- 日本トップクラスの人気を誇る定番米です。やわらかめの食感ともっちりした粘りで、和食を中心とした定食などによく使われます。
供給量も豊富なため、安定した入手が可能です。
30kg削減も可能?炊き増え率アップ時の3つの注意点

炊き増え率を上げれば、1トン炊飯で30kg以上もの原料削減につながるケースもあります。
とはいえ、むやみに水の量を増やすと食味に悪影響が出ることがあります。以下の3点を意識して、効率良く炊き増え率を上げましょう。
- 米の品質・状態を見極める
- 新米はもともと水分量が多いため、加水量を増やしすぎると柔らかくなりすぎ、米粒が砕けやすくなります。
- 古米は米粒が硬く、水分が抜けているため吸水時間をしっかり取り、やや多めの加水を検討すると良いでしょう。
- 新米はもともと水分量が多いため、加水量を増やしすぎると柔らかくなりすぎ、米粒が砕けやすくなります。
- 吸水効率を高める浄水や沸騰水の活用
- 残留塩素の少ない浄水・沸騰後に冷ました湯を使うと、米粒が水分を吸いやすくなり炊き増え率が上がりやすいとされています。
- 逆に硬度の高いミネラルウォーターは、米の表面に付着して吸水を妨げる場合があるため注意しましょう。
- 残留塩素の少ない浄水・沸騰後に冷ました湯を使うと、米粒が水分を吸いやすくなり炊き増え率が上がりやすいとされています。
- 仕上げのほぐし方に気を配る
- 炊きあがったあと、しゃもじを使って底から返すようにやさしく混ぜるのが基本。ここで水分を軽く飛ばしつつ、余分な水分が米粒同士をくっつけないようにします。
- 一度にガッと混ぜると米粒が潰れて食味が落ちるので、少しずつ空気を含ませるようにほぐしてください。
- 炊きあがったあと、しゃもじを使って底から返すようにやさしく混ぜるのが基本。ここで水分を軽く飛ばしつつ、余分な水分が米粒同士をくっつけないようにします。
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蒸気式・IH・ガス式…おすすめの業務用炊飯器メーカー3社

炊き増え率を最大化するには、適切な加熱方式の炊飯器を選ぶことも重要です。ここでは業務用炊飯器メーカーのなかから、蒸気式も含めた3社を厳選紹介します。
エースシステム株式会社

エースシステムは産業機械・工作機械を製造・販売する企業で、過熱水蒸気を用いた調理機器を強みとしています。
釜を用いない「連続蒸気炊飯システム」は、密閉状態に近い空間で蒸気を効率的に活用できるため、約2.3~2.6倍という高い炊き増え率を達成します。
ランニングコストもガス釜に比べて大幅に抑えられるため、原料コスト・燃料費の両方を削減できます。
会社名 | エースシステム株式会社 |
所在地 | 大阪府和泉市あゆみ野3-1-3 |
電話番号 | 0725-54-3958 |
公式サイトURL | https://www.acesystem.co.jp/ |
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◯さらに詳しい情報は公式ホームページから確認できます。ぜひチェックしてみてください。
エースシステム株式会社公式ホームページはこちら
口コミ
エースシステム株式会社やの口コミや評判は、多くは見受けられませんでした。
しかしコメントはありませんが、Google口コミの★3つの評価をされていましたので一般的な炊飯システムメーカーと捉えることができます。
いずれにしても、業務用の炊飯システムを検討している方にとって、検討する1社としてみてもいいでしょう。
引用元:Google口コミ
株式会社アイホー

アイホーは70年以上にわたり、給食向けの調理機器や業務用炊飯器を製造・販売してきた歴史ある企業です。
ガス式・IH式・蒸気式のすべてに対応し、施設・店舗のニーズに合わせたプラン提案が可能です。中でもガス式「連続炊飯機ライスフレンド」は省スペースかつ立体2層構造で熱効率に優れ、釜内でしっかり対流が起こるため、炊きムラや生煮えのリスクを低減しながら炊き増え率の向上も期待できます。
会社名 | 株式会社 AIHO(株式会社 アイホー) |
所在地 | 愛知県豊川市白鳥町防入60 |
電話番号 | 0533-88-5111 |
公式サイトURL | https://www.aiho.co.jp/ |
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口コミ
大きいながらもアットホームな厨房機器メーカーです。
引用元:Google口コミ
株式会社サタケ

会社名 | 株式会社サタケ |
所在地 | 東京都千代田区外神田4丁目7番2号 |
電話番号 | 03-3253-3111 |
公式サイトURL | https://www.satake-japan.co.jp/index.html |
120年以上の歴史をもつサタケは、世界150か国以上に展開する食品産業総合機械メーカーです。米粒1つ1つの品質にこだわった技術開発で、特許取得件数は3,000件を超えています。
「炊飯マイスターシステム」は半自動IH炊飯のラインを構築しつつ、コストパフォーマンスに優れた導入が可能です。釜単位での炊き分けがしやすいため、大規模施設から中小規模店舗まで幅広い需要に対応できる点が魅力です。
口コミ
米を食べてる以上はきっとどこかでサタケのお世話になっている。
引用元:Google口コミ
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まとめ:炊き増え率を上げて経営効率と食味を両立させよう

本記事では、米の炊き増え率とは何か、炊き増え率を上げる方法や注意点、おすすめの業務用炊飯器メーカーまで幅広く解説しました。
- 炊き増え率の基本
一般的に2.1~2.2倍程度だが、品種や蒸気式などの手法を組み合わせれば2.3~2.6倍まで高められます。1トン単位の炊飯なら、数十kgの原料削減が期待できます。
- 炊き増え率向上のポイント
①米の品質・状態(新米or古米)に合わせて浸漬時間と水量を調整できます。
②浄水や沸騰させた水で吸水率をアップします。
③炊きあがり後はやさしく全体をほぐします。
- 業務用炊飯器メーカー3選
エースシステム株式会社、株式会社アイホー、株式会社サタケ … いずれも熱源・方式に特徴があり、大量炊飯におけるコスト・効率性を高められます。
炊き増え率を追求するときは、「味と食感の品質を維持・向上しながらコストを削減する」という二兎を追うことが大切です。
ご紹介したメーカーの炊飯器や炊飯工程のポイントを参考に、ぜひ自社の調理環境に最適な方法を探してみてください。
思い通りのふっくら大増量ご飯を提供できれば、経営効率もお客様の満足度も大きく向上するはずです。
この記事が少しでもお役に立てば幸いです。皆さまの炊飯が、よりおいしく、より経済的なものとなりますように。
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