「炊飯ラインってなに?」
「炊飯ラインのメーカーを選ぶポイントは?」
炊飯ラインとは、飲食業界や施設で使用される、炊飯のプロセスを効率的に行う一連の装置群のことです。ご飯を炊く際、品質を保ちながら生産性を向上できるのが炊飯ラインを導入するメリットになります。
炊飯ラインを導入することで、一般的には以下の工程が自動または、半自動で行われます。
- 米の取り出し
- 米の洗浄
- 米の浸漬
- 余分な水分を切る
- 米の量に対して適切に水を加える
- 米を炊いて蒸らす
- 炊き上がったご飯を取り出す
- ご飯をほぐす
- ご飯を盛り付ける
炊飯ラインは上記のような工程を自動化できるものの、費用が高額になりやすいため、後悔しないためにもメーカー選びを慎重に行わなければなりません。
そこで本記事では、炊飯ラインのメーカーを選ぶポイントを解説します。あわせて、おすすめメーカーも紹介するため、参考にしてください。
炊飯ラインのメーカーを選ぶポイント
炊飯ラインのメーカーを選ぶポイントは以下のとおりです。
それぞれ解説します。
炊飯量・炊き分け機能
炊飯する量や炊き分け機能が必要かどうかチェックしましょう。ご飯の炊飯量によって、導入すべき炊飯ラインが異なります。
業務用炊飯器は1度の炊飯で10~30合ほどを炊き上げるのに比べて、炊飯ラインは1時間で1万食炊ける製品もあるのが特徴です。必要な炊飯量に合わせて炊飯ラインを検討しましょう。
また、炊き込みご飯や酢飯などを炊きたい場合には、炊き分け機能がある製品を選ぶのがおすすめです。提供する商品に合わせて、必要な機能を備えている炊飯ラインを選んでください。
加熱方式
炊飯器にはガス式・IH式・蒸気式の3つの加熱方式があります。加熱方式が違うことで、設備の特徴や炊きあがるご飯の食感などが変わるため、導入先に合わせて選ぶのがおすすめです。
ガス式は、かまどで炊いたような味わいを楽しめることや、粘りのあるもちもちとしたご飯が炊けます。強い火力によって短時間でご飯を炊き上げられるのが特徴です。
IH式は、内釜全体を電磁力によって均一に加熱することでムラなく炊けます。省エネで多品種のお米を炊けることに加え、少量炊飯も可能です。
蒸気式は、外は硬め、中は柔らかく炊けます。エネルギー効率が良くランニングコストを抑えられるため、おいしいご飯を効率的に炊きたい場合におすすめです。
ガス式・IH式・蒸気式の特徴をそれぞれ把握し、目的に合った炊飯ラインを選びましょう。
導入費用
炊飯ラインの導入費用は、全自動タイプと半自動タイプのどちらを選択するのかによって大きく変わります。
全自動タイプは1億円を超えることがあります。全自動タイプは自動的に炊飯の一連の工程を行ってくれるため、安定した品質を保ちながら人件費を節約可能です。一方で、導入には高額な費用がかかるため、予算に余裕が必要となるでしょう。
半自動タイプは少なく見積もっても5,000万円程度かかります。半自動タイプは全自動タイプと比べて費用を抑えられ、工程を細かく調整できます。しかし、手動操作が必要となるため、品質のばらつきが生じる可能性や人件費がかかることを考慮しましょう。
導入費用には、本体価格以外にも、装置の運搬や設置工事の費用も必要です。事前に見積もりしてもらい、複数社比較しながら予算に合うかどうか検討しましょう。
複数社比較する
炊飯ラインは、メーカーによって性能や炊飯量・導入費用が大きく異なるため、必ず複数社比較しましょう。比較することで、それぞれのメーカーが提供する炊飯ラインの特徴を理解でき、最適な設備を選べます。
炊飯ラインの導入は全自動・半自動タイプともに高額な費用がかかるため、慎重に選ぶことが重要です。
炊飯システムの新設・入替前にチェックするべき項目
炊飯システムを新しく設置する、もしくは入れ替える場合は、以下の項目をチェックする必要があります。
これらの項目がチェックされていないと、導入において問題が発生する可能性があります。それぞれのチェックポイントについて見ていきましょう。
炊き増え率
炊き増え率とは、炊飯時にお米が吸水して膨らむ割合を指す指標です。炊き増え率の値が高いほど、少ないお米で多くの炊き上がり量を得られるため、原料の節約につながります。
一般的な釜炊飯機では、炊き増え率は約2.1倍から2.2倍程度とされています。特に炊き増え率が2.2倍を超える炊飯器を使用すれば、炊き上がり後のお米の重量がさらに増加し、原料コストの削減効果をより高めることが可能です。
炊飯器の性能については、炊き増え率が高いかどうか、少なくとも一般的な水準を確保しているかを確認しましょう。
炊飯システムに投入する予算
コンビニや企業給食で利用される大規模な炊飯システムの導入には、5000万円から2億円程度の費用がかかる場合があります。そのため、システムの新設や入れ替えを検討する際には、長期的な視点で費用対効果を検討しなければいけません。
初期費用が高額な炊飯器であっても、炊き増え率が高いシステムを選ぶことで、原材料費や運用コストを効果的に削減できる可能性があります。炊飯器の性能も考慮した上で、投資する予算を決定しましょう。
設置スペース
新しい炊飯システムを導入する際に、確認すべきなのが設置スペースの確保です。炊飯器のサイズが設置場所に対してぎりぎりだと、作業中に事故やトラブルが発生するリスクが高まります。
従業員が安全かつ快適に作業できる環境を整えるためには、設置スペースに余裕を持たせた炊飯器を選ぶことが重要です。炊飯器の設置場所については専用のスペースを設けるなどして、他の設備と隣接しないように工夫することも大切です。
おすすめの業務用炊飯器メーカー3選
炊飯設備を導入するにあたって、おすすめのメーカーを3つ紹介します。
それぞれ詳しく解説するため、メーカー選びの参考にしてください。
エースシステム株式会社
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | エースシステム株式会社 |
所在地 | 大阪府和泉市あゆみ野3-1-3 |
創業年数 | 1988年創業 |
商品名 | スチームライスマシーン |
公式サイト | https://www.acesystem.co.jp/index.html |
エースシステム株式会社は、1988年に創業した産業機械および工作機械の製造と販売を専門としている会社です。同社は、過熱水蒸気を利用した調理機器を主力商品としています。
エースシステムの『連続蒸気炊飯システム』は、無浸漬炊飯を実現できる製品です。過熱水蒸気によって、お米にしっかりと水分を加え、浸漬なしでもふっくらとしたおいしいご飯が炊けます。
連続蒸気炊飯システムで炊き上がるご飯は、中は柔らかく、外は硬めの食感が特徴です。米の一粒一粒を感じられるご飯を炊きたい方におすすめします。
蒸気炊飯のメリット
蒸気炊飯では、炊き増え率(膨張率)が約2.3倍から2.6倍と高く、効率的に調整できるメリットがあります。
これにより、使用する白米の量を削減することが可能です。例えば、1トンのご飯を炊いた場合でも、約30kg以上の原料削減が可能となります。
また、蒸気炊飯は米を短時間で加熱できる仕組みを持ち、わずか3分で米の温度を100℃にまで上昇させることが可能です。ステンレスネットの上で一定の厚みを持たせて米層を形成し、適切に加水しながら蒸し上げるため、米粒がふっくらと仕上がり、内部が柔らかく外側がしっかりとした理想的な食感を実現します。
成形性に優れた特性によって、おにぎりや寿司、赤飯など、さまざまな用途で高品質な仕上がりを提供します。
株式会社アイホー
項目 | 詳細 |
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会社名 | 株式会社 AIHO |
所在地 | 愛知県豊川市白鳥町防入60 |
創業年数 | 1953年創業 |
商品名 | 連続炊飯機ライスフレンド |
公式サイト | https://www.aiho.co.jp/ |
株式会社アイホーは、1953年に創業した、給食用調理機械・厨房機器の製造と販売を専門としている会社です。同社は、ガス式、IH式、蒸気式を熱源とした幅広い炊飯器を取り揃えており、施設の規模や炊くご飯の量に合わせて最適な炊飯ラインを選択できます。
特に人気のあるブランド『ライスフレンド』は、省エネかつ効率的においしいご飯を炊き上げる、ガス式炊飯器を提供しています。この炊飯器は、昔ながらの羽釜によるかまど炊きを再現しており、微妙な火加減が可能です。
そのため、多品種の同時炊飯にも対応できます。アイホーの炊飯器は種類が豊富であり、施設のニーズに合わせて、最適な選択肢を見つけられるでしょう。
ガス炊飯のメリット
ガス炊飯では、釜ごとに異なる種類を同時に炊き上げることが可能です。そのため、複数の種類のお米を一度に炊飯する必要がある食品工場などに、最適な炊飯システムとして広く利用されています。
大量炊飯を行う食品工場では、ガス式連続炊飯器が主流となっています。IH炊飯器や蒸気炊飯器が登場した後も、ガス炊飯器は圧倒的な市場シェアを維持しており、豊富な製品ラインナップからニーズに合った仕様を選びやすい点が魅力です。
株式会社サタケ
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社サタケ |
所在地 | 広島市東広島市西条西本町2番30号 東京都千代田区外神田4丁目7番2号 |
創業年数 | 1896年創業、1939年設立 |
商品名 | 炊飯マイスターシステム |
公式サイト | https://satake-japan.co.jp/index.html |
株式会社サタケは1896年に創業した、食品産業総合機械やプラント設備、食品の製造販売を行っている企業です。同社は120年以上の歴史を持ち、国内外約150か国に機械や設備を提供しています。
『炊飯マイスターシステム』は、サタケが提供する最高水準のIH炊飯器です。このシステムは、低コストで効率的な炊飯ラインを実現できます。
IH方式を採用した炊飯器は、釜を発熱させることで熱効率が向上し、高火力でご飯を炊けます。釜全体に均一に熱を伝えることで、おいしいご飯が炊けるのが特徴です。
IH炊飯のメリット
IH炊飯は、きめ細やかな温度調節による高い品質管理が特徴です。釜自体を発熱させる仕組みにより、炊飯を5つの工程に分けて温度を細かく調整できるため、精密なコントロールが可能です。
ガス連続炊飯装置の熱効率が約30%であるのに対し、釜全体を効率的に加熱するIH炊飯の熱効率は約80〜85%と大幅に優れています。また、釜全体の温度を均一に上昇させ、横面の温度も含めて細かく調整できるため、均一で美味しいご飯を炊き上げることが可能です。
その結果、廃棄量を削減しコストの抑制にもつながります。
まとめ
本記事では、炊飯ラインのメーカーを選ぶポイントを解説しました。どのような商品を消費者に届けたいかを考えることで、炊飯ラインにおいて重視するポイントは変わってくるでしょう。
炊飯ラインの導入には高額な初期費用がかかるため、特徴を把握しながら複数のメーカーを比較することが大切です。今回の記事で紹介したメーカーはどこも信頼できるため、あわせて検討してみてください。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです。