炊飯ラインとは、炊飯を行うために必要な機能を備えた、一連の装置群のことを指します。食数や設置条件に合わせて、ラインを自由に構成でき、導入先の作業効率を大幅に向上させることが可能です。
炊飯ラインによっては、ボタンひとつで1時間1万食のご飯を炊き上げられます。多くのメリットをもたらす炊飯ラインですが、導入のための費用も高く、炊飯ラインのことをしっかりと理解した上で導入することが重要です。
- 炊飯ラインとはどんなものなのか知りたい
- 炊飯ラインの導入にかかる費用を知りたい
- 炊飯ラインを扱うおすすめのメーカーを知りたい
中には、上記のような疑問を抱えている方も少なくないでしょう。
そこで本記事では、炊飯ラインについて詳しく解説します。あわせて、炊飯ラインの導入にかかる費用やメーカーを選定するポイントについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
炊飯ラインとは
炊飯ラインとは、炊飯を行うために必要な機能を備えた、一連の装置群のことです。メーカーによって細かい部分は異なりますが、具体的には昇米機や、連続洗米機、連続炊飯機、自動炊飯釜などのことを指します。
炊飯ラインの一般的な工程は、以下の通りです。
出米→洗米→浸漬→水切り→計量・注水→炊飯・蒸らし→取り出し→攪拌・ほぐし→計量・盛付け
混ぜご飯などの炊飯の際には、調味液、具材添加の工程も含まれます。炊飯ラインは、スーパーマーケットや大規模な給食センターなどで多く導入されています。
また、炊飯ラインには、一般的な工程を全て自動化した全自動タイプや、一部の工程を手動で行う半自動タイプがあります。
炊飯ラインのシステム
炊飯ラインのシステムは、どんな炊飯器を導入するかによって特徴が異なります。一般的な炊飯ラインのシステムとして挙げられるのが、以下の3つです。
それぞれの炊飯システムについて解説していきます。
蒸気炊飯
蒸気炊飯は、大量調理に特化した炊飯ラインのシステムの一つで、食品工場や大規模給食施設で広く採用されています。
この方式では、高温の蒸気を用いてお米を均一に加熱し、ふっくらとした炊き上がりを実現します。蒸気による加熱は直接火を使わないため、温度管理がしやすく、焦げ付きを防げる点が特徴です。また、蒸気はお米全体に均等に浸透するため、ご飯をムラなく仕上げられます。
さらに、蒸気炊飯は熱効率が高く、省エネルギー効果も期待できるため、長期的なコスト削減にもつながります。衛生管理が重要な現場でも活用されており、安定した品質のご飯を供給するための信頼性の高い選択肢としておすすめです。
ガス炊飯
ガス炊飯システムは、大量のご飯を短時間で炊き上げる性能に優れており、大規模な施設や工場などで活用される炊飯方法です。
ガスバーナーを利用して高温で一気に加熱するため、炊き上がりがふっくらとした食感になるのが特徴です。また、熱伝導率が高いため、効率的にエネルギーを活用できます。
一方で、温度管理には熟練した調整が必要な場合があり、適切な運用が求められます。特に大量生産を行う場面では、連続稼働を想定した設計がされているため、効率的なオペレーションが可能です。近年では自動化されたガス炊飯システムが導入され、均一な品質のご飯を供給することが求められる現場でも採用されています。
IH炊飯
IH炊飯は、精密な温度調節と高効率な加熱を実現するシステムです。この方式では、釜自体を発熱させることで全体を均一に加熱し、理想的な炊き上がりを可能にします。
従来のガス式と比べて熱効率が80〜85%と非常に高く、エネルギー消費の削減にも役立ちます。さらに、炊飯工程を細かく分けて温度を調整するため、米の芯までしっかりと火が通り、美味しさと食感を最大限に引き出します。
IH炊飯は大手コンビニや企業給食向けに使用されており、厳しい品質管理の下で信頼性の高い運用が可能です。均一な加熱により廃棄リスクを抑え、運用コストの削減も実現するなど、美味しさと効率性を追求するシステムとして注目されています。
炊飯ライン導入にかかる費用
炊飯ラインの導入にかかる費用としては、全自動タイプと半自動タイプのどちらを採用するのかによって大きく異なります。全自動タイプの場合は、1億円を超える費用がかかると思っておきましょう。
半自動タイプの場合は、全自動タイプよりは費用を抑えられますが、少なくても5,000万円ほどの費用がかかります。また、導入する製品の本体価格だけでなく、装置運搬費用や設置工事費用が別途必要になることを忘れないようにしましょう。
導入する炊飯ラインや依頼するメーカーによっても費用は異なるため、複数のメーカーを比較することが重要です。
炊飯ラインの導入前にチェックするべき項目
炊飯ラインのシステムを社内に導入する場合、以下の項目をチェックする必要があります。
炊飯ラインを導入して適切に機能させるには、上記のポイントを押さえておくことが重要です。それぞれの項目について解説していきます。
炊き増え率
炊き増え率は、炊飯時にお米が吸水し膨らむ割合を示す指標です。この値が高いほど、少ない米の量で多くの炊き上がり量を確保できることであり、原材料コストの効率的な削減につながります。
一般的な釜炊飯機では炊き増え率が約2.1倍から2.2倍とされていますが、2.2倍を超える炊飯機を導入することで、より多くの炊き上がり重量を得ることが可能です。このような高い炊き増え率を実現する機種は、大規模な炊飯ラインにおいてコスト削減効果を一層高める手段として有効です。
炊飯機を選定する際は、炊き増え率が十分高いか、また一般的な基準を満たしているかを確認することが、効率的で経済的な運用を実現するためのポイントとなります。
設置スペース
新しい炊飯システムを導入する際に、設置スペースが確保できるか確認しなければいけません。炊飯器のサイズが設置場所に対して余裕がない場合、作業中のトラブルや事故のリスクが増加する可能性があります。
従業員が安全に作業できる環境を実現するには、十分なスペースを確保できる炊飯器を選ぶことが重要です。また、設置場所は他の設備と適切な距離を保ち、専用のスペースを設けるなどの工夫を取り入れることで、より快適で安全な作業環境を維持できます。
導入コストと予算
コンビニや企業給食で使用される大規模な炊飯システムの導入には、5000万円から2億円ほどのコストが必要になるケースもあります。そのため、新設や入れ替えを計画する際には、長期的な費用対効果を考慮することが大切です。
導入時の費用が高額であっても、炊き増え率が高いシステムを選ぶことで、原材料費の無駄を削減し、運用コストを抑えられる可能性があります。炊飯器の性能や効率性を総合的に評価し、予算を計画的に配分することで、より高い投資効果を期待できます。
炊飯ラインを依頼するメーカーの選定ポイント
ここでは、炊飯ラインを依頼するメーカーの選定ポイントを紹介します。大切になってくるのは以下の2つです。
以下でそれぞれ詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
生産量と生産品から考える
1つ目のポイントは、生産量と生産品から考えることです。導入先に必要となる生産量によって、最適な機器や加熱方式が異なります。
一般的に、業務用炊飯器の加熱方式は、ガス式・電気式・蒸気式の3つに分けられます。加熱方式によって、長所が異なるため、導入先に適した方式を選ぶことが重要です。
また、生産品として炊き込みご飯や酢飯に対応しているかどうか、計量、盛付けの必要性も確認する必要があります。生産量と生産品という視点から、最適な炊飯ラインを選定しましょう。
複数のメーカーを比較する
2つ目のポイントは、複数のメーカーを比較することです。炊飯ラインは依頼するメーカーによって、性能や生産量、費用が大きく異なります。
初めから1つのメーカーだけで決めてしまうと、他に導入先に最適なメーカーがあったとあとで後悔する結果になりかねません。また、炊飯ラインは莫大な導入費用がかかるため、メーカー選びを間違えると数百万〜数千万損することもあります。
したがって、依頼するメーカーを選ぶ際には、複数のメーカーを比較した上で依頼先を決めましょう。少なくても3社以上は比較することをおすすめします。
炊飯ラインを依頼するおすすめメーカー3選
本記事の最後には、炊飯ラインを依頼するおすすめメーカー3選を紹介します。今回紹介するのは、以下の3つのメーカーです。
以下でそれぞれのメーカーの特徴を詳しく解説するため、ぜひメーカー選びの参考にしてください。
エースシステム株式会社
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | エースシステム株式会社 |
所在地 | 大阪府和泉市あゆみ野3-1-3 |
創業年数 | 1988年創業 |
商品名 | スチームライスマシーン |
公式サイト | https://www.acesystem.co.jp/index.html |
1つ目におすすめのメーカーは、エースシステム株式会社です。エースシステム株式会社は30年以上の歴史を持ち、産業機械や工作機械の製造・販売を手掛けるメーカーになります。
業界初となる過熱水蒸気を熱源とした調理機器を開発した会社として有名です。連続炊飯システムは『スチームライスマシーン』を採用しています。
スチームライスマシーンでは、ガス式やIH式では実現できないメリットを持ったご飯を炊くことが可能です。興味のある方は、一度問い合わせてみましょう。
株式会社アイホー
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社 AIHO |
所在地 | 愛知県豊川市白鳥町防入60 |
創業年数 | 1953年創業 |
商品名 | 連続炊飯機ライスフレンド |
公式サイト | https://www.aiho.co.jp/ |
2つ目におすすめのメーカーは、株式会社アイホーです。株式会社アイホーは約70年の歴史を持ち、業務用厨房機器や設備の総合メーカーとして知られています。
人気のブランドである『ライスフレンド』という連続炊飯システムを採用していることが特徴です。また、株式会社アイホーでは、ガス式・IH式・蒸気式すべての加熱方式を用意しており、目的に合った製品の導入ができます。
周辺機器の組み合わせによって、炊飯加工業態に合わせた最適な炊飯システムの構築も可能です。
株式会社サタケ
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社サタケ |
所在地 | 広島市東広島市西条西本町2番30号 東京都千代田区外神田4丁目7番2号 |
創業年数 | 1896年創業、1939年設立 |
商品名 | 炊飯マイスターシステム |
公式サイト | https://satake-japan.co.jp/index.html |
3つ目におすすめのメーカーは、株式会社サタケです。株式会社サタケは120年以上の歴史を持ち、食品産業総合機械やプラント設備及び食品の製造・販売を手掛けています。
半自動小型IH炊飯システム『炊飯マイスターシステム』を扱っていることが特徴です。炊飯マイスターシステムは、低コストの炊飯ラインでありながら、最高水準のIH炊飯器を採用しています。
IH方式は熱効率が高く高火力であり、丸釜で底面が球形状のため、熱が釜全体に均一に伝わりおいしいご飯を炊くことが可能です。
まとめ
本記事では、炊飯ラインについてや導入にかかる費用、メーカーを選定するポイントについて解説しました。炊飯ラインを導入することで、導入先の作業効率を大幅に向上させることが可能です。
しかし、莫大な費用がかかるため、依頼するメーカー選びは慎重に行うようにしましょう。メーカーを選ぶ際は、本記事で解説した内容を参考にしてください。また、おすすめのメーカー3つもあわせて検討してみましょう。
本記事があなたのお役に立てることを願っております。